スピーカーを使う意味

測定上の音質では、イヤフォンの方が有利に見える

  • イヤフォンは耳に密着して音を届けるため、音源から耳までの距離が短く反射や空間の影響が少ない
  • 測定や空気録音で分析しても、イヤフォンが良い結果になることが多い
→ 周波数特性・S/Nなど「音質の純粋な測定値」としてみたときに、スピーカーよりイヤフォンの方が優れている。

じゃあスピーカーを使う意味は何か?

リスナー目線

  • イヤフォンより音が「自然に」聴こえる
    • 音と耳の間の空気量が多い
    • 人間が現実世界で音を経験するときの条件に近い
  • 迫力がある
    • 音を身体全体で感じられる
  • 耳を塞がない、着脱の手間がない
  • 長時間でも疲れにくい
  • 大きな音を出しても(イヤフォンと比べると)耳が痛くなりにくい
  • 複数人で同じ音を共有できる

制作者目線

  • 曲を「スピーカーで聴かれた時」にどう聴こえるかが分かる
    • 「音量を上げたとき」に起きる問題が見えやすい
      • ボーカルやリードが音圧に埋もれる
      • 高域が耳に刺さり「うるささ」に変わる
    • 低域の「量」ではなく「挙動」が見えやすい
      • ベースとキックが分離しているか
      • 音程のある低音になっているか、ただの圧になっていないか
    • 空間・定位の破綻が見えやすい
      • センター(ボーカル/キック)が本当に真ん中に立っているか
      • パン振りが「意図した距離感」になっているか
      • リバーブが奥行きを作っているのか、ただ濁しているのか
 
スピーカーは「音質が優れているから使うもの」ではなく、
「音が空間に放たれたときに何が起きるかを確認するための装置」と言えそう。

じゃあヘッドフォンは?

リスナー目線

  • イヤフォンより没入感が生まれやすい
    • 映画とか、アンビエント系の音楽、ライブ音源とかに向いてる
  • 曲全体のサイズ感やバランスを感じ取りやすい
  • ファッションアイテムとしてかっこいい

制作者目線

スピーカー以上に
  • 前後感・奥行きの「作りすぎ」「不自然さ」が露出しやすい
  • センター成分を「位置」ではなく密度・芯の強さとしてチェックしやすい
  • EQ・コンプ・歪みのやりすぎが露出しやすい